Os pubis; Pubis(恥骨)Pubis ちこつ [TA: A02.5.01.301] Feneis: 044 08

 寛骨臼の前方約1/5と寛骨の前下方部を形成し、対側の恥骨と恥骨結合面で軟骨(線維軟骨)結合をする。長楕円形の恥骨結合面を含む前上部が恥骨体である。丸みをおびた恥骨体上縁の外側端にある隆起が恥骨結節で、恥骨結節から恥骨結合面へ向かう、恥骨体前面との移行部の粗な隆線が恥骨稜である。恥骨体の上外側から後上外側へ伸び、寛骨臼に達する三角柱状の部分が恥骨上枝である。恥骨上枝上面(櫛状面)は三角形を呈す。恥骨結節から寛骨臼部へいたる、上面外側前方の丸みをおびた隆線が閉鎖稜であり、恥骨結節から後上外側の橈骨との癒合部を示す粗な隆起へいたる、上面内側後方の稜線が恥骨櫛である。腸骨との境界部は肥厚しているが、寛骨臼前下縁にいたる、とくに肥厚した部分が腸恥隆起である。恥骨櫛・恥骨稜は分界線の恥骨部をなす。内側面(骨盤面)は恥骨櫛と、鋭利縁をなす下縁との間の平滑な面で、外側部で幅が狭くなる。下面(閉鎖面)には内側面下後方から下面前下方へ向かう閉鎖溝がある。閉鎖溝は前方が閉鎖稜で、後方は下縁で境される。下縁中央部で、やや後方へ突出した小隆起が前閉鎖結節である。生体では前閉鎖結節と後閉鎖結節との間に、閉鎖膜の上縁をなす線維束が張って閉鎖溝の底となり閉鎖管を形成する。腸骨体の下外側から後下外側方へ伸びる扁平な部分が恥骨下枝で、坐骨枝と癒合し閉鎖溝の下縁をなす。癒合部は粗な隆起部として残ることがある。恥骨下枝の上縁は鋭いが、下縁は被厚し粗面をなす。下縁の内側部が粗に隆起して陰茎稜を示すことがある。ラテン語のPubes(陰部)に由来する。Pubesはpuberty(思春期)の語でわかるように、元来は成人の意味で、これから成人のシンボルである陰毛(pubes)のこととなった。このpubesはやがて陰部を指すようになり、その所有格によって「恥部の骨」os pubisの名が生まれた。

骨(骨格系)
一般用語
頭蓋
頭蓋骨
脊柱
胸郭骨
上肢骨
自由上肢骨
手の骨
下肢骨
自由下肢骨(自由下肢部)
足の骨(足骨) 
下肢骨 (骨盤帯(下肢帯)、仙骨[第一仙椎〜第五仙椎])
寛骨 (寛骨臼、寛骨臼唇(寛骨臼縁)、寛骨臼窩、寛骨臼切痕、月状面、坐骨恥骨枝、閉鎖孔、大坐骨切痕)
腸骨
腸骨体、寛骨臼上溝、腸骨翼、弓状線、腸骨稜、外唇、腸骨結節、中間線、内唇、上前腸骨棘、下前腸骨棘、上後腸骨棘、下後腸骨棘、腸骨窩、臀筋面(殿筋面)、前臀筋線(前殿筋線)、後臀筋線(後殿筋線)、下臀筋線(下殿筋線)、仙骨盤面、耳状面、腸骨粗面
坐骨
坐骨体、坐骨枝、坐骨結節、坐骨棘、小坐骨切痕
恥骨
恥骨体恥骨結節、、恥骨接合面恥骨稜恥骨上枝腸恥隆起恥骨櫛閉鎖稜閉鎖溝前閉鎖結節(後閉鎖結節)恥骨下枝
骨盤
骨盤腔、恥骨弓、恥骨下角、大骨盤、小骨盤、分界線(骨盤縁、腸骨恥骨線)、骨盤上口、骨盤下口、骨盤軸、横径、斜径、解剖学的結合線、真結合線(産科学的結合線)、対角真結合線、直結合線(骨盤下口の結合線)、正中結合線、外結合線、棘間径、腸骨稜間径、大転子間径、骨盤傾斜

A02501101-313a.jpg (16404 バイト)

A02501101-313b.jpg (27179 バイト)

Corpus ossis pubis(恥骨体)Body of pubis ちこつたい [TA: A02.5.01.302] Feneis: 044 09

 恥骨体は閉鎖孔の前縁とその付近をつくる上下に伸びた部で、上端は恥骨上枝に、下端は恥骨下枝に接続する。

 

Tuberculum pubicum(恥骨結節)Pubic tubercle ちこつけっせつ [TA: A02.5.01.303] Feneis: 044 10

 恥骨櫛の前端の付近に上方に突出する小さな恥骨結節がある。

 

Facies symphysialis(恥骨接合面)Symphysial surface ちこつせつごうめん [TA: A02.5.01.304] Feneis: 044 11

 恥骨体の前内側端は肥厚して、長卵円形の凹凸不平な恥骨結合面を有する。恥骨結合面の輪郭の形や表面の性状にはかなりの年齢的変化がみられ、年齢判定の一つの目安となる。恥骨接合面の年令的変化に着目し、年齢推定のための10段階の基準を作ったのはT.W. Todd(41920, 1921)である。この基準は今日でも法医学会や人類学で活用され、頭蓋縫合の閉鎖状態による方法よりも少ない誤差で年令判定ができるという。着眼点は恥骨結合面の骨化の進行・完成と、老人性の退行変化の程度である。埴原(1952)と小山(1958)の日本人での所見を加味して概説すると次のようになる。17〜19才の骨化未完成の時期には、結合面全体にわたって数条の平行隆線が明瞭に横走している。年令の進むとともに隆線間の谷は次第に浅くなって隆線は不明瞭化し、ついには抄出して結合面は平坦になる(25才〜27才)。石灰沈着が進むと結合面の辺縁が明瞭になってくるが、40才以上では老人性の変化が始まって結合面は粗となり不規則な侵触破壊の像を示すようになる。

 

Crista pubica(恥骨稜)Pubic crest ちこつりょう [TA: A02.5.01.305] Feneis: 044 12

 恥骨結節から恥骨結合面の上縁までつづく粗な線、恥骨稜は前腹筋下端が起こるところなるほか、白線や側腹筋腱膜の一部が着く。

 

Ramus superior ossis pubis(恥骨上枝)Superior pubic ramus ちこつじょうし [TA: A02.5.01.306] Feneis: 044 13

 恥骨上枝は、寛骨臼の前下部と、そこから前下方に伸びて恥骨体の上部につづく三角柱状の部分をいう。

 

Eminentia iliopubica(腸恥隆起)Iliopubic ramus ちょうちりゅうき [TA: A02.5.01.307] Feneis: 044 14

 恥骨上枝の上端にあたり、寛骨急の前縁から寛骨の前縁に沿う部分が高まって腸恥隆起を作っている。

 

Pecten ossis pubis(恥骨櫛)Pecten pubis ちこつしつ [TA: A02.5.01.308] Feneis: 044 15

 恥骨体の上縁は恥骨上枝につづく恥骨櫛である。

 

Crista obturatoria(閉鎖稜)Obturator crest へいさりょう [TA: A02.5.01.309] Feneis: 044 16

 前縁は閉鎖孔の前縁となる鋭い隆起線で、閉鎖孔の上縁のつづきとして、寛骨臼切痕の前縁の付近にある小さな後閉鎖結節から前内方にゆるい弧を描いて走り、次第に鈍くなって恥骨体の前面で恥骨結節の下方に至る。これが閉鎖稜であるが、また前閉鎖稜の名で呼ばれることもある。

 

Sulcus obturatorius(閉鎖溝)Obturator groove へいさこう [TA: A02.5.01.310] Feneis: 044 17

 前および後閉鎖結節にはさまれて、恥骨上枝の前縁と下縁の間には、閉鎖孔の前上隅を後上方から前下方にめぐる閉鎖溝がある。

 

Tuberculum obturatorium anterius(前閉鎖結節)Anterior obturator tubercle ぜんへいさけっせつ [TA: A02.5.01.311] Feneis: 044 18

 閉鎖溝の前縁との移行部付近に小さな前閉鎖結節がある。

 

(Tuberculum obturatorium posterius)(後閉鎖結節)Posterior obturator tubercle こうへいさけっせつ [TA: A02.5.01.312] Feneis: 044 19

 閉鎖孔の後方で寛骨臼切痕の前縁の付近にある小さな隆起が後閉鎖結節である。

 

Ramus inferior ossis pubis(恥骨下枝)Inferior pubic ramus ちこつかし [TA: A02.5.01.313] Feneis: 044 20

 恥骨下枝は閉鎖溝の下縁の前半をつくる。内外から圧平された骨板で、とくに閉鎖孔に向く上縁は薄く鋭い。下縁はやや肥厚する。下縁の広報部の前面付近は粗に隆起してCrista phalica[INA](陰茎稜)をつくる。

最終更新日:2002年09月13日

funalogo.gif (2604 バイト)