Ossa; Systema skeletale(骨、骨格系)Bones こつ、こっかくけい [TA: A02.0.00.000] Feneis: 398 29, 398 30

 これまでの解剖学用語(Nomina Anatomica)では骨、骨格系(Ossa; Systema skeletale)を骨学(Osterlogia)と呼んでいた。 からだの支柱をなす「骨ぐみ」である。多数の「骨」といくらかの「軟骨」がその構成単位をなす器官であり、これらが多くは関節によって可動的に連結されている。骨格には昆虫や甲殻類に見られるような外骨格と、脊柱動物にみられるような内骨格とがある。内骨格の構成単位をなすものは骨という器官で、人体では骨の数は200あまりである。しかし、頭蓋の上部をつくる骨、顔面の骨の大部分、上肢帯の鎖骨は、本来は外骨格性の皮骨が動物の発達の過程で沈下して、内骨格の一部となったものと考えられている。これらの皮骨性の骨は、その形成から見て、その主要部が結合組織からすぐ骨組織がつくられたもの(結合組織骨、膜骨)であって、内骨格性の骨が先に軟骨性の原基を経て骨になる(原始骨、置換骨)のとは区別される。骨組織や軟骨組織は身体の支柱であり、筋とともに身体各部の運動を引き起こす。この支柱を骨格系といい、骨格系と関節系、および骨格筋を合わせて運動器という。また、頭蓋や脊柱はなかに中枢神経組織(脳と脊髄)を入れて、それを保護し、胸郭や、骨盤は内蔵の一部を入れて保護する。骨格系はカルシウムやリンなどの重要な鉱質の貯蔵庫でもある。身体の多くの器官が正しく機能するためにはカルシウムが必要で、血液と骨組織の間で絶えずカルシウムの交換が行われている。また、骨の内部は血液細胞の産生の場である。

骨(骨格系)
一般用語
頭蓋
頭蓋骨
脊柱
胸郭骨
上肢骨
自由上肢骨
手の骨
下肢骨
自由下肢骨(自由下肢部)
足の骨(足骨) 
骨(骨格系)
骨組織骨形成臨床的側面

Skeleton; Sceleton(骨格)Skeleton こつかく

 動物体にある一連の堅固な構造物で、体を支持し、筋が付着して受動的な運動にあずかり、また軟部を囲んでこれを保護する。無脊椎動物の骨格は脊椎動物とは構造や性質が全く異なる。これに体の内部にある内骨格と体表にある外骨格があって、後者がしばしば発達する。現生の脊椎動物の主な骨格は体の内部にあるが、カメやアルマジロにみられる発達した角鱗とその下の骨板は外骨格といえる。原始的な化石魚類(カッチュウウオなど)では、歯の硬組織によく似た構造の皮甲が外骨格として発達していた。現生魚類各種の鱗はその遺残と考えられ(鮫の楯鱗とその歯は基本構造が同じでエナメル質もあり、ふつうの魚類の鱗は真皮中の骨板を表皮が被うものである)、爬虫類以上でも角鱗(角化した表皮)の下にしばしば骨板がある。これらの骨板はすべて真皮中に生じ、結合組織性に形成される膜性骨であって、皮骨と呼ばれる。これに対して脊椎動物でもともと体の内部にある骨格ははじめ軟骨として生じ、のちに骨化する軟骨性骨であるが、現生の円口類・軟骨魚類・一部の硬骨魚類では成体でも軟骨ままとどまる。この軟骨性骨を内骨格、皮骨を外骨格と呼ぶこともある。ヒトにもみられる頭蓋冠・顎骨・鎖骨などの膜性骨は皮骨が深部に入って内骨格に加わったものである。

Textus osseus(骨組織)Bone tissue; Osseous tissue こつそしき

骨組織は骨細胞osteocytes、基質、膠原細線維、接合質および種々の塩からなっている。特殊な分化を遂げた結合組織の一種で、その特徴は豊富な細胞間質(骨基礎質という)にカルシウム塩類を主とする無機塩類が沈着し、固有の硬さをもっていることである。基質成分の大部分は結合性のハイドロキシアパタイトで、ここの結晶は厚さ1.5〜3nm、長さ10nmの板状ないし長杆状で、線維の長軸に沿って配列する。その他かなりの量のクエン酸イオン、炭酸イオンを含む。またカルシウムのほかにマグネシウム、ナトリウムも含まれる。基質に含まれる線維性分(骨線維)は膠原線維で、直径約50〜70nm、64〜68nmの横縞をもち、骨組織に加わる張力や歪力に対向しうる力学的合理性をもった配列を示す。生細胞性部には骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞の3種類がある。このうち骨基質の中に埋没し、骨基質の維持、血中カルシウム濃度と関連したカルシウム塩類の動員、沈着などの調節に関与する細胞を骨細胞という。骨細胞は扁平な楕円形で、表面に多数の細長い突起をもつ。その先端は隣接する細胞の突起の尖端とネキサスで連結する。骨細胞の細胞体をいれている基質内の小室を骨小腔、細胞質突起のための細管状通路を骨小管という。骨小管のあるものは基質内を貫通する血管路や骨組織内外側の血管周囲腔に向かって開放しているため、これらの小管は立体的に連続した網工系を構成し、骨細胞の栄養、代謝産物の通路として重要な役割を果たす。結合組織の基質にカルシウム塩類が沈着し、骨小腔や骨小管の有機的構築がいられない場合は単なる石灰化(calcification)であって骨化(ossification)とはいわない。塩類は骨に硬さを与える。塩のない、すわなち「脱灰した」骨には屈曲性がある。あまりにも弱い石灰化はビタミン類の不足あるいは内分泌障害が原因である。ビタミン不足は例えば紫外線が体に充分に作用しないため、プロビタミンprovitaminsがビタミンDに変化しないこともによって起こってくるのである。あまりにも弱い石灰化はクル病ricketsのときにみられるような骨軟化osteomalaciaを引き起こす。塩類のみでなく、有機物の構成要素も骨の強固さに関与する。構成要素である有機物が不充分な場合には骨の弾性が失われる。そのような骨はもはや負担に耐えられず骨は折れやすくなる。有機構成要素の破壊は強く灼熱することによって人工的に起こすことができる。

Osteogenesis(骨形成)Osteogenesis こつけいせい

 骨の形成は間葉細胞の特殊化した骨芽細胞による。骨芽細胞は初めは軟らかい基質と膠原線維から成る類骨質という細胞間質を分泌する。骨芽細胞から骨細胞ができてくる。単球由来とされる破骨細胞は骨の改造のさい常に協力して働く。骨の発生はつねに既存の結合組織が骨組織に置換されることによって行われる。これに2種類の様式がある。一つは胎生期の原始結合組織中に直接骨組織ができてくるもので、膜性骨発生(膜内骨化)といい、頭蓋冠を構成する扁平骨、下顎骨の一部、鎖骨などがこの様式をとる。このようにしてできる骨を膜性骨または付加骨という。他の一つは骨形成部にはじめ軟骨のモデルができ、これが骨組織に置き換えられていくもので、軟骨性骨発生または置換骨とよばれる。軟骨内骨化は軟骨の内部に始まり、とくに骨端領域に現れてくる。骨端は長骨の両端にあり、この骨の軸の部分は骨幹といわれる。軟骨外骨化は軟骨膜から始まるが、骨幹に限られている。その過程は結合組織性骨化と同じである。骨端との骨幹の境界には骨端軟骨があり、この軟骨は縦方向の成長に必須のものである。骨端接合部に隣接する骨幹の部分は骨幹端といわれ、骨化の際まず最初に軟骨が造成してくるところである。骨端軟骨の内部では層をなして骨形成過程が進行する。まずはじめ骨端には硝子軟骨質の鮮明な軟骨質の鮮明な軟骨対がみられるが、この帯域は骨端接合部においける骨形成の影響を受けない。この「静止している」軟骨(zone of resting cartilage)に隣接して成長帯zone of proliferating cartilage cellsである柱状軟骨帯がある。ここで分裂によって軟骨細胞の増殖が起こる。その次の層は骨幹に近く位置し、大きな空胞状の軟骨細胞のある成熟骨帯で、ここではすでに石灰化がみられる(予備石灰化帯zone of provisional calcificationとも呼ばれる)。この層に接して軟骨破壊帯zone of caertilage breakdownと骨化帯zone of ossificationが続く。この領域では軟骨は破軟骨細胞によって壊され、骨芽細胞によって置換骨がつくられてくる。ここにはまだ軟骨が所々残っているので、骨幹内にみられる軟骨内骨は骨幹周囲の軟骨外骨化による付加骨とは区別することができる。軟骨内骨は成熟によって2次的に置き換えられていく。軟骨内骨の破壊は遊走してきた破骨細胞によっておこる。結合組織性骨化と軟骨性骨化いずれの様式をとるにせよ、胎生期の原始結合組織のなかで骨組織への骨芽細胞の周辺で膠原線維と有機性基質のみからなり、石灰化していない薄層を骨様組織(Textus osteoideus)とよぶ。

臨床的側面

 骨折 骨折の直後、患者は骨折部位の激痛を感じその部位を使うことができない。骨片がたがいにずれている状況ならば、体表ないし骨表面の輪郭の変形を伴いやすい。その場合の変形の程度、骨片の占める位置などは、原因外力の影響ばかりでなく、骨片に付着している諸筋の牽引作用にも依存する。人体の付き方も変形に影響をあたえるであろう。場合によっては、例えば腸骨では、骨折に伴う変形が起きにくい(腸骨の内・外面ともに広範囲が筋の付着部位なので、骨片は添え木を当てられたように移動できない)。反対に、大腿骨頚の骨折は相当な変形をもたらす。強大な大腿筋による遠位骨折の上方牽引(下肢全体の短縮を招く)、これも非常に強力な外施筋群による遠位骨片の外施(足のつま先が外側に向くようになる)が起きるためである。骨折時にはかなりの量の出血が骨片間、周囲の軟部組織などに起こる。骨折の治癒過程では、骨膜からの線維芽細胞や骨芽細胞、新生血管が重要な役割を果たす。

 クル病 この病気は成長しつつある骨における軟骨部分へのカルシウム沈着が阻害される。すなわち、軟骨細胞が増大し続けるために軟骨領域過剰となり、骨端軟骨板の開大もこれに伴う。骨は強度が不十分であるから、圧力に応じ弯曲する。その結果、肋骨軟骨連結部の隆起や下肢の成長の弯曲、前頭骨突出、骨盤骨変形などが生じる。 骨端軟骨板異常 骨端軟骨板は成長期の骨において、骨の長さの増大をもたらすために重要である。この場所をしめる硝子軟骨が外傷、感染、食事、運動、内分泌障害などによる悪影響を受ければ、骨変形や骨機能不全を来す。例えば大腿骨では、過度の荷重や機械力ストレスのために近位骨端軟骨板が滑脱してしまうことがある。骨端軟骨板への過大な血流供給(感染あるいは腫瘍の存在により起きるもの)が、四肢の長さを異常に増加させることもある。骨端軟骨板への血流が外傷後に不足する状態が続けば、四肢は短くなる。

最終更新日:2002年09月13日

funalogo.gif (2604 バイト)