Cranium(頭蓋,ズガイ)Cranium とうがい、ずがい [TA: A02.1.00.001] Feneis: 028 20 |


頭蓋は日常語として一般にズガイと読まれているが、1943年(昭和18年)制定の医学用語、解剖学用語ではトウガイと読むことに定められた。しかし日常語としてのズガイも併用されている。
頭蓋は15種23個の骨、すなわち10種16個の頭蓋骨および5種7個の顔面骨の連結により形成されている。また頭蓋は5種7個の脳頭蓋(神経頭蓋)および10種16個の顔面頭蓋(内臓頭蓋)にも分類されている。
頭蓋骨(10種16個)を形成する骨は、後頭骨(1個)、蝶形骨(1個)、側頭骨(1対2個)、頭頂骨(1対2個)、前頭骨(1対2個)、篩骨(1個)、下鼻甲介(1対2個)、涙骨(1対2個)、鼻骨(1対2個)および鋤骨(1個)である。顔面骨(5種7個)を形成する骨は、上顎骨(1対2個)、口蓋骨(1対2個)、頬骨(1対2個)、下顎骨(1個)および舌骨(1個)である。
頭蓋は頭蓋冠と頭蓋底にもわけられているが、前者は頭蓋腔を円蓋状におおい、後者は頭蓋の底部をなし、両者の境界に冠する諸学者の見解は一定していないが、一般には外後頭隆起、上項線、外耳孔上縁、側頭下稜、眼窩上縁、鼻棘をむすぶ環状線をもって境界と定めている。
頭蓋腔を円蓋状におおい、後者は頭蓋の底部を成し、両者の境界に関する諸学者の見解は一定していないが、一般には外後頭隆起、上項線、外耳孔上縁、側頭下稜、眼窩上縁、鼻棘を結ぶ環状線をもっって境界と定めている。頭蓋腔の容積は1,200〜1,500mlであるが、性差があり、女は男より約10%少ない。なお頭蓋腔の大きさは、脳の大きさに密接な関係をもっている。頭蓋の形態は個人差、年齢差、性差などのほかに人種差もあり、これは人類学的に重要な意義を有している。骨格のうちで最も人種の特徴の差違が著明に現れるのは頭蓋であるといわれている。
頭蓋の人種間の差違を具体的に表すために、18世紀末より頭蓋計測がおこなわれてきたが、多数の計測値のうちで最も重要なものは最大脳頭蓋幅径を最大脳頭蓋長で除して、その値に100を乗して得た頭蓋長幅示数である。この数の値によって頭蓋を長頭(74.9以下)、中頭(75.0〜79.9)、および短頭(80.0以上)の3型に大別することができる。頭蓋骨間の連結には下記の4種がある。
(1)縫合:15種23個の骨のうち、下顎骨と舌骨とを除いたすべての骨は、縫合という骨間結合組織によって不動結合をなす。頭蓋には34種の恒常性の縫合がある。
(2)軟骨結合:頭蓋底の軟骨性原始頭蓋すなわち後頭骨、蝶形骨、側頭骨にみられる不動結合で5種ある。
(3)靱帯結合:側頭骨の茎状突起と舌骨との間にある頭蓋で唯一の靱帯結合すなわち可動結合である。
(4)関節結合:下顎頭と側頭骨下顎窩との間にある頭蓋で唯一の関節すなわち可動結合である。
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| Norma facialis; Norma frontalis(頭蓋顔面、頭蓋前面、前面観)Facial aspect とうがいがんめん、とうがいぜんめん、ぜんめんかん [TA: A02.1.00.002] Feneis: 028 32 |
前から見た頭蓋骨の輪郭。頭蓋を前から眺めると、頭蓋はその全体像を概観することができる。前頭部は頭頂骨でつくられている。この骨は前頭鱗のところでは冠状縫合によって頭頂骨と分けられている。前頭部では眉弓の間に眉間がある。前頭骨は眼窩上縁でもって眼窩口を囲んでおり、その内側端の近くには、発達の程度のまちまちの眼窩上切痕がみられる。ときにはこの切痕は眼窩上孔をつくり帰られている。両側の眼窩の間では、前頭骨は前頭鼻骨縫合によって鼻骨とまた前頭上顎縫合によって上顎骨と接している。両側の鼻骨は鼻骨間縫合によって接合している。眼窩口の外側には前頭頬骨縫合がみられ、この縫合は前頭骨と頬骨の間の境界をなしている。頬骨は上顎骨とともに眼窩口を広範囲に囲んでいる。上顎のところでは眼窩下縁の少し下方で、頬骨上顎縫合の近くに眼窩下孔がみられる。この孔は上顎神経の一枝(眼窩下神経)と動・静脈が通り抜けるためのものである。上顎骨体には眼窩下孔の下方にくぼみがみえるが、これは犬歯窩といわれる。上顎体から外側へ向かって頬骨突起が出る。前頭骨との接合は、上顎体から上行する前頭突起によって行われ、また内側へ向かう口蓋突起が硬口蓋の前方での基礎をつくっている。最後に、歯の生えている上顎では下方へ向かう歯槽突起がみられる。前頭突起には眼窩下縁の続きとして前涙嚢稜がみられる。上顎骨の中心は上顎骨であって、これが鼻切痕をもって鼻腔への入口である梨状口の境界をつくっている。この梨状口の下縁で、上顎間縫合の上端には、前方へ向かう棘すなわち前鼻棘がと突出している。頬骨のところでは頬骨顔面孔が一つないし二つみられる。下顎骨は前から見ると下顎体、歯槽部および下顎枝がみえる。下顎体の所では、第2小臼歯を通るように設定された垂直線上にオトガイ孔が見られる。下顎骨の中央部にはオトガイ隆起が形成されている。
| Norma superior; Norma verticalis(頭蓋上面、頭蓋頭頂面)Superior aspect とうがいじょうめん、とうがいとうちょうめん [TA: A02.1.00.003] Feneis: 028 28 |
頭蓋骨の上表面の輪郭。頭蓋上面と頭蓋冠は必ずしも同義ではない。敢えていうならば頭蓋冠上面と頭蓋上面は同義語として扱える。
| Norma occipitalis(後面観、頭蓋後面)Occipital aspect とうがいこうめん、こうめんかん [TA: A02.1.00.004] Feneis: 032 25 |
後ろから見た頭蓋骨の輪郭。頭蓋を後ろから眺めると、矢状縫合で結合している両側の頭頂骨がみえる。ラムダ縫合は両側の頭頂骨と後頭骨との境界をなしている。後頭骨で目立つのは正中にある外後頭隆起である。この隆起から上外側へ最上後線走る。この最上後線の下方には上項線があり、外後頭隆起から側方へ伸びる横提をつくっている。その下には外後頭隆起と大孔とのほぼ真ん中に側方へ走る下項線がある。この下項線の始まりはかなり発達の良い外後頭稜にある。後頭骨の側方には、後頭乳突縫合によって後頭骨からわけられた側頭骨に属する乳様突起がみられる。錐体鱗縫合が乳様突起のところに完全又は不完全に存在していることがある。この縫合は乳様突起が側頭骨の鱗部および岩様部の両部からつくられる後頭乳突縫合のところには乳突孔があり、ここを乳突導出静脈が通り抜けている。乳突突起の内側面には乳突切痕がつくられている。その内側には後頭動脈溝がある。頭頂骨のところには頭頂孔がみられる。
| Norma lateralis(頭蓋側面、側面観)Lateral aspect とうがいそくめん、そくめんかん [TA: A02.1.00.005] Feneis: 030 10 |
頭蓋を側面から見た頭蓋骨の輪郭。ドイツ水平面(眼窩の下縁と外耳道の上縁を通る水平面)に定位した頭蓋では、神経頭蓋のところに側頭平面がみえる。この側頭平面をつくるのに関与するのは側頭骨のほか、頭頂骨、前頭骨の一部および蝶形骨である。側頭平面は上方では幾分よく発達した下側頭線と、発達のあまり良くない上側頭線によって境されている。側頭骨鱗部からは頬骨突起が前方へ伸び出し、これが頬骨の側頭突起とつながって頬骨弓をつくる。頬骨突起の根部の下方には外耳道があり、この大部分は側頭骨の鼓室部、一部分はそのろの鱗部で囲まれている。そのすぐ上にはしばしば小さな道上棘と道上小窩という小さなくぼみがある。外耳道の後ろには筋のための骨突起として生じた乳様突起の根部には乳突孔がある。
| Norma inferior; Norma basalis(頭蓋下面、底面観、外頭蓋底)Inferior aspect とうがいていめん、ていめんかん、がいとうがいてい [TA: A02.1.00.006] Feneis: 030 16 |
下から見た頭蓋骨下面の輪郭。外頭蓋底Basis cranii externa (external surface of cranial base)は前方にある顔面部と後方にある神経部とが区別される。前部には左右とも上顎骨口蓋突起、口蓋骨水平板、上顎骨歯槽突起、上顎結節および頬骨からなる。鋤骨は内側で後鼻孔を境する。両側の口蓋突起は正中口蓋縫合で接合し、その前端には切歯孔がある。この切歯孔から第2切歯に至るところに、剤損している切歯縫合が時折見られる。口蓋骨の水平板は大口蓋孔と通常2つの小口蓋孔をもつ。大口蓋孔からは口蓋棘で仕切られた口蓋溝が前方へ走る。上顎骨と口蓋骨の間には横口蓋縫合が見られる。後部に属する骨は、蝶形骨、両側の側頭骨および後頭骨である。翼状突起は外側で後鼻孔の境界をつくる。翼状突起に翼突鈎をもつ内側板と外側板を区別する。その両板の間には翼突窩がある。内側板の根部には舟状窩とその後内側には破裂孔がある。中央部には蝶形骨体があり、側方には側頭下稜をもつ大翼がある。大翼は蝶形骨棘をもち、棘孔に貫かれている。棘孔と披裂孔との間には卵円孔が開く。蝶形骨と側頭骨岩様部との間には蝶錐体裂がある。そこから耳管溝が後外側へ伸び出す。頚動脈管外口に蝸牛小管外口が連絡し、これはまた頚静脈窩と隣接している。頚静脈窩と頚動脈管外口の間には錐体小窩がある。この錐体小窩には鼓室部と茎状突起鞘でおおわれた茎状突起が接している。この突起のすぐ後ろには茎乳突孔がある。乳様突起には乳突切痕、その内側には後頭乳突縫合がある。ここには後頭動脈溝がある。乳様突起の前方には鼓室部と鱗部でかこまれた外耳孔がある。鼓室部と鱗部、ならびに錐体鼓室裂と錐体鱗裂によって囲まれる鼓室蓋稜という岩様部にある小稜が、下顎窩をつくる。この下顎窩は前夫は関節結節で境される。外側へは側頭骨頬骨突起が伸び出す。咽頭結節をもつ後頭骨の底部は蝶形骨体と癒合している。側頭骨岩様部と後頭骨の間には錐体後頭裂が走る。頚静脈窩はそれに隣接する後頭骨によって拡大されて頚静脈溝となる。大後頭孔は側方では後頭顆の後縁にはそれぞれ1本の顆管がみられる。大後頭孔に始まって、外後頭稜は上へ向かい外後頭隆起に至る。
| Neurocranium(脳頭蓋、神経頭蓋)Neurocranium のうとうがい、しんけいとうがい [TA: A02.1.00.007] |
頭蓋は主として脳を容れる部分である脳頭蓋(神経頭蓋)と、主に顔面を構成する顔面頭蓋(内臓頭蓋)に分けられる。Neurocraniumとviscerocraniumは直訳すると、それぞれ神経頭蓋と内臓頭蓋である。顔面頭蓋に比べて脳頭蓋が大きいのが人類の特徴で、これは脳ことに大脳の非常な発達と関係している。
| Viscerocranium(顔面頭蓋、内臓頭蓋)Viscerocranium がんめんとうがい、ないぞうとうがい [TA: A02.1.00.008] |
顔面頭蓋(内臓頭蓋)は、上、下顎など、元来、鰓に近い関係をもつ内臓弓に由来する骨格である。ヒトの胎児では6対ある内臓弓のうち、第1内臓弓の主部は後の下顎部となる顎骨弓であって、その中に第1内臓弓軟骨(Meckel軟骨)がある。Meckel軟骨の後上部は前方に屈して、上顎の部に翼方形軟骨などをつくる。これを中心として上顎とその周囲では皮骨性の蝶形骨翼状突起の内側板、上顎骨、口蓋骨、頬骨が、下顎ではMeckel軟骨を中心として下顎骨ができる。第2内臓弓軟骨(Reichert軟骨)と第3内臓弓軟骨の前方部からは舌骨が生じ、Reichert軟骨の広報部は側頭骨の茎状突起となる。従って、舌骨も顔面頭蓋(内臓頭蓋)に所属させられる。下級脊椎動物では下顎骨と、上顎の方形骨とが顎関節をつくるが、哺乳類では下顎骨は著憶説、脳頭蓋(神経頭蓋)の底(側頭骨鱗部)に関節する。これに伴って、方形骨、Meckel軟骨の最後部、第2内臓弓軟骨の最後部は耳殻(側頭骨岩様部)の側面の陥凹のなか(中耳)に取り込まれ、3個の耳小骨となる。しかし、耳小骨は習慣上、内臓頭蓋としては扱われない。
| Chondrocranium(軟骨頭蓋)Chondrocranium なんこつとうがい [TA: A02.1.00.009] |
頭蓋底の発生にあずかる軟骨頭蓋は、脊索前端部の周囲とさらにその前方にある間葉の軟骨化による3主の軟骨、すなわち、傍索軟骨、または基底板、下垂体軟骨または極軟骨、梁柱軟骨、およびこれらに耳殻、鼻殻、眼窩翼、側頭翼が加わって形成される。脊索の前端部の周囲に形成されるのが傍索軟骨で、これより前方で下垂体部を取り囲むものが下垂体軟骨で、これよりさらに前方で正中線上の両側にあるのが梁柱軟骨である。これらの軟骨は正中で合し、脳の底面を支える溝上の正中板をつくる。傍索軟骨からは後頭骨の底部と大後頭孔を囲む部が、下垂体軟骨からは蝶形体骨が、梁柱軟骨と鼻殻からは篩骨および下鼻甲介がそれぞれ発生する。耳胞の周囲に生ずる耳殻から側頭骨の岩様部が形成され、これが傍索軟骨と接するところに頚静脈孔ができる。眼窩翼からは蝶形骨小翼が、側頭翼からは同大翼が形成されるが、両者の間に動眼神経、滑車神経、外転神経、眼神経などが介在する。
| Desmocranium(靱帯頭蓋)Desmocranium じんたいとうがい [TA: A02.1.00.010] |
初期胚芽脊索の頭蓋末端にある中胚葉塊で、もっとも初期の頭蓋を形成する。
| Pericranium; Periosteum externum cranii(頭蓋骨膜)Pericranium とうがいこつまく [TA: A02.1.00.011] Feneis: 028 21 |
頭蓋冠の外面は強い頭蓋骨膜に被われ、上方に向かってふくれ高まり、頭頂骨、前頭鱗、側頭骨鱗部および後頭鱗からなる。

最終更新日:2002年09月13日