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集中治療医学関連疾患の概念と治療法の基礎知識
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以下の内容はGICU抄読会で取り上げた論文を基本に作成している。
詳細は原文を参照されたい。

ステロイドパルス療法 versus 少量メチルプレドニゾロン療法:
急性肺傷害に対するステロイドパルス療法の適応は厳格なものはない。難治性、進行性の急性呼吸不全に対し、ソルメドロール1gを3日間投与する。その後、内科的異型肺炎が基礎となっている場合にはプレドニンを1mg/kg/dayで、2週間ごとに漸減していく方法と、少量メチルプレドニゾロン療法(2mg/kg/day)を持続する方法がある。ARDSの初期には炎症とそれに伴う肺水腫が主体となり、後期には肺の線維化が進行することにより呼吸不全が増悪する。この肺線維化はARDSの死亡率を高くし、線維化防止を主眼にMeduriらは24名のARDS患者の臨床研究によりソルメドロール2mg/kg/day長期投与により、肺線維化防止とその予後を改善すると報告している。
(JAMA 1998;280:159)
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急性呼吸不全とステロイド療法:
1. ARDS:本疾患では早期投与は効果がなく、ステロイドの投与開始時期としては後期、線維増殖期(発症から7日以降)の方が優れている(Arch Surg 1985;20:530, Chest 1990;97:138)。投与方法はMeduriら(JAMA 1998;280:159)の提唱した投与方法が推奨される。毎週気管支鏡検査を行い、感染の早期発見に務めることが重要である。
2. 喘息重積発作:重積発作に対するステロイドは有効、無効相反する報告がある(Am J Med 1983;74:845, J Pediatr 1980;96:596.)。ICU適応となる重積発作に対しては40〜60mgのメチルプレドニゾロンを6時間ごとに投与したほうがよい。
3. COPD:COPDの急性増悪症例に対するステロイド投与を支持する文献はほとんどみられないが、Albertらは(Ann Intern Med 1980;.92:753)0.5mg/kgのメチルプレドニゾロンを6時間ごと、3日間投与した群と対照群を比較し、ステロイド群で有意に一秒率が改善したと報告している。この報告は統計学的処理に疑問の余地があり、COPDの急性増悪例に対するステロイド投与の是非は述べられない。
4. カリニ肺炎:HIV患者に比べ、臓器移植患者や化学療法中、ステロイドや免疫抑制剤投与を受けている患者の死亡率が高い (Am J Med 1987;82:73)。このような患者へのステロイド投与は感染をさらに助長する可能性はあるが、NIHの報告(NEJM 1990;323:1500)したプレドニゾンの経口投与(第1〜5日;40mg 2回、第6〜10日;40mg 1回、第11〜21日;20mg 1回)が推奨されている。
5. 急性好酸球性肺炎:発症から24時間以内に人工呼吸が必要になる急激な経過をたどることが多く、ステロイドが有効である (NEJM 1989;321:569)。メチルプレドニゾロン60〜125mgを6時間ごとに静脈内投与し、症状が安定したところでプレドニゾンを1日40〜60mg経口投与する方法が推奨される。
6. 肺胞出血症候群: SLE に伴う肺胞出血は死亡率が25〜50%と高く、Zamoraらの報告(Medicine 1997;76:192)から、メチルプレドニゾロン1,000mg/dayのパルス療法が推奨されている。Wegener肉芽腫症の治療としてはプレドニゾン1mg/kg/dayとシクロフォスファミド2mg/kg/dayを4週間投与し、1〜2ヶ月かけてプレドニゾンを60mg 隔日まで漸減する方法が一般的な治療である。しかし肺胞出血を伴うものは劇症の経過をとるものが多く、劇症型では一般的投与量の倍のプレドニゾン、シクロフォスファミドを投与し、メチルプレドニゾン1000mg/dayのパルス療法も必要である。多発性微小血管炎は毛細血管や細動・静脈が侵される疾患で、治療はWegener肉芽腫症の劇症型と同様の方法が推奨される。骨髄移植後の肺胞出血は致死率も高く、Metcalfらの報告したメチルプレドニゾロン125〜250mgを6時間ごとに5日間投与し、2〜4週間で漸減する方法が推奨される(Am J Med 1994;96:327)。
7. 放射線肺臓炎:放射線治療終了後2〜3ヶ月で発症することが多く、合併率は7〜8%程度である(Ann Intern Med 1977;86:81)。予防的投与は効果がないので、中等から重症例への最低60mgのステロイド投与が有効である。
8. 粟粒結核:粟粒結核にステロイドが有効であるという明らかな報告はないが、呼吸不全を来している症例には結核の治療と合わせてステロイドを投与する方が良い。
9. 薬物性肺障害:ブレオマイシン、マイトマイシン、アミオダロンなどによる間質性肺炎にステロイドが有効であるとの根拠はないが、呼吸不全を来している症例にはプレドニゾン60〜100mg/dayを投与するほうがよいだろう。コカインにより好酸球性肺炎様の組織変化が認められるので、コカインによる呼吸不全にステロイドが有効であるかもしれない。
(AJRCCM 1999;160:1079)
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ステロイドの急性副作用:
最も懸念される急性副作用はミオパチーで、多くの症例で筋弛緩薬との併用でミオパチーを生じたと報告されているが(Ann Pharmacother 1996;30:1437)、ステロイド単独でもミオパチーは報告されている(ARRD 1988;137:460)。ほとんどすべてのステロイドでアナフィラキシー様の症状が報告されている。躁病や神経症、自殺企図を伴う鬱病、譫妄などの精神症状が報告されており、典型的にはプレドニゾン換算60〜80mg/day以上の投与量で精神症状が現れる。また、ステロイド開始1〜2週間で症状が出現することが多い(Compr Therapy 1995;21:524)
(AJRCCM 1999;160:1079)
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気管切開:
経口経鼻挿管から気管切開に移行するタイミングに関しては、1989年の Consensus Conference on Artificial Airways in Patients Receiving Mechanical Ventilation に於いて、「人工的気道確保が21日以上必要と予想される場合、気管切開が推奨される」とされている。
(Chest 1989;96:178)
Donna らは1966年から1996年までの気管切開の時期に関する論文のmeta analysisを行い、気管切開を早期に行うべきか否かについては明確な回答はないとしている。
(Chest 1998;114:605)
Marinらは521人の人工呼吸管理患者を対象としたprospective studyを行い、気管切開施行の予測因子と施行された患者の予後に関して検討を行っている。彼らは気管切開となる因子として、
1)以前に気管内挿管を受けたことがある、
2)誤燕のエピソードがある、
3)吸入療法を受けている、
4)ventilator-associated pneumoniaを起こした、
5)気管支鏡検査を必要とする
などの因子をあげている。ICU入室となった原疾患を内科的、外科的疾患に分けて検討したところ、内科的疾患において非気管切開群の方が有意に院内死亡率が高かった(外科的疾患では有意差なし)と報告している。
(CCM 1999;27:1714)
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消化管管理:
消化管は重症患者の第2の標的臓器とされ、侵襲が生体に加わると腸管血流傷害から粘膜、特に絨毛部先端は虚血に陥り、その腸管壁防御機構に破綻を来す。これにより腸管内常在菌叢の菌あるいはそれより放出される内毒素が血流内に流入するbacterial translocationという現象が起きると考えられている。
(CCM 1998;26:1637)
SDD(Selective Discontamination of Digestive tract, 選択的消化管殺菌)
院内肺炎、特にventilator-associated pneumoniaの予防のため、口腔、咽頭、胃、小腸の好気性の病原菌を選択的に殺菌する方法。抗生剤の選択や投与経路にはさまざまな処方が提唱されている。一般的には非吸収性抗生剤の口腔内および経管投与と抗生剤の経静脈的投与の組み合わせで行われる。1998年の D'Amicoらによる5,727人を対象にしたメタ解析により、
1) 人工呼吸中の患者の40% が気道感染し、内30%が死亡する
2) 非吸収性抗生剤と抗生剤静注の組み合わせが最も有効で、抗生剤非投与に比べ気道感染を65%、死亡率を20%減少させる
3) 非吸収性抗生剤のみを投与し、静注を行なわなかった場合、気道感染を44%減少させたが、死亡率は減少させなかった (BMJ 316:1275-1285)。
処方の一例として、口腔、咽頭を消毒薬で含嗽後、2%gentamicin, polymixinB, amphotericinB入りの粘着性methylcelluloseペースト0.25gを塗布。経鼻胃管より gentamicin 80mg, polymixin B 100mg, amphotericin B 500mg を10mLに溶いた液を注入し、1時間クランプ。抗生剤静注がすでに行われていればそれを続行、投与されていなければceftriaxon 2g を1日1回静注。
(AJRCCM 1998;158:908)

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