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不育症外来

不育症とは、妊娠はするものの、流産・早産を繰り返したり、死産となったりすることにより、元気な赤ちゃんを得ることが出来ない状態を指します。以下のものが含まれます。

  • 習慣流産:3回以上の連続した流産
  • 反復流産:2回続けての流産
  • その他:1回以上の妊娠10週以降の流産(子宮内胎児死亡)・死産など
流産とは妊娠 22週未満で妊娠が終わることをいいます。通常、化学妊娠(化学流産)** は不育症の流産回数には含めません。
** 化学妊娠(化学流産) とは、妊娠反応は陽性になりますが、超音波検査を含めたその他の検査では妊娠が確認できないまま、次の月経が発来する状態をいいます。


不妊症は、妊娠そのものが難しい状態を指します。どちらも赤ちゃんを授からないという点では大変辛いものですが、妊娠を中途で失う、特に繰り返して失う時、その悲しみや苦しみははかり知れません。

1回の自然流産は決して珍しいことではなく、妊娠した人の10〜15%に起こります。そのほとんどは、ご夫婦に問題があるのではなく、赤ちゃん側、すなわち受精卵の偶発的な染色体異常が原因です。しかし、このタイプの流産を治療したり予防したりするのは困難です。

自然流産の起きる確率から考えると、偶発的な自然流産が2回続くことも、決して珍しいことではありません。しかしその場合、赤ちゃん側ではなく、ご夫婦のいずれかに、流産を繰り返す何らかの原因がある可能性も否定はできません。まして、流産が3回以上になると、習慣流産という状態になりますので、積極的な検査とその結果に基づいた治療・管理が必要になります。


<担当スタッフ>

吉村泰典、丸山哲夫、山田満稔、佐藤 卓、宮崎 薫

<対象患者>

  • 反復流産患者(2回以上流産を繰り返した方)
  • 習慣流産患者(連続して3回以上流産を繰り返した方)
  • その他の不育症(1回以上の死産、子宮内胎児発育遅延、早発型妊娠高血圧症)
  • 凝固異常合併妊娠
  • 免疫異常合併妊娠
<不育症検査とその治療>
  原因 検査 治療
  産婦人科一般  内診
 子宮がん検診
 血算
 
  子宮腔形態・
器質的異常
 経腟超音波断層検査
 子宮卵管造影
 子宮鏡検査
 MRI検査
 手術(開腹・腹腔鏡下・子宮鏡下)
 子宮頸管縫縮術
  感染症  クラミジア検査
 梅毒検査
 B型・C型肝炎検査
 HIV検査
 抗生物質など
  内分泌・
代謝異常
 下垂体ホルモン検査(LH、FSH、PRL)
 甲状腺機能検査(FT3、FT4、TSH)
 空腹時血糖
 黄体機能検査(高温期プロゲステロン値)
 ホルモン療法
 漢方薬
 内科的治療
(甲状腺、糖代謝異常)
  自己免疫異常
 抗核抗体
 抗リン脂質抗体
(抗カルジオリピン抗体、抗PE抗体など)
 ループスアンチゴアグラント
 その他の自己抗体
 低用量アスピリン療法
 ヘパリン療法
 漢方薬
 副腎皮質ホルモン
  凝固異常

 凝固一般(APTT、PT)
 凝固XII因子
 プロテインC
 プロテインS
 アンチトロンビンIII

  同種免疫異常  フローサイトメトリークロスマッチ
 NK活性
 Th1/Th2比
 夫リンパ球接種による免疫療法
  染色体異常  夫婦染色体検査
 流産検体染色体検査
 遺伝カウンセリングなど
     *ご希望や必要に応じて行います。
 #子宮卵管造影・子宮鏡検査をするうえで必要になります。
 ◎検査は保険と一部が自費になります。
 ◎研究目的の検査をお願いすることがあります。

 

以前に他の病院・クリニックで不育症検査を受けた方は、検査結果(子宮卵管造影検査のコピーやフィルムも含む)をご持参下さい。

上記の一連の検査を行っても、不育症の明らかな原因がみつからない場合も少なくありません。また、仮に検査で異常がみつかっても、流産、早産、あるいは死産をされた年齢、現在の年齢、これまでの流早死産の回数や状況、検査結果の異常の程度などによっては、ここに列挙した治療とは違う内容の治療を選択することもありますし、場合によっては無治療で次の妊娠に臨むという方針になることもあります。上記はあくまでも参考で、当院ではこれらの検査や治療が施行可能であるとご理解していただければ幸いです。不育症はさまざまな原因で起こり、また妊娠の成立や維持の仕組みも十分に解明されていない部分が沢山あります。「出来ることは何でもしたい」「あらゆる治療を受けて次の妊娠に臨みたい」というお気持ちは十分理解出来ますが、医学的な根拠(エビデンス)にある程度基づいた治療を行わなければならないのも事実です。

生殖医療にはさまざまな分野がありますが、その多くの最終目的は赤ちゃんを得ることです。ただし、生殖医療の分野によって当面の目標があります。たとえば、排卵障害のために月経不順で悩んでおられる方は、まず月経周期や排卵周期を回復させることが目標になります。不妊症の方は、まず妊娠を目指すことになります。しかし、不育症にはこのような当面の目標はなく、赤ちゃんを得て初めて目標が達成されます。不育症に対しては、妊娠前から妊娠成立までだけでなく、妊娠後のフォローから出産まで、連続性のある総合的な診療が求められる場合も少なくありません。私達は、総合的な取り組みが可能な大学病院として、より良い不育症診療を提供していきたいと考えています。

 

<診療手順>

まず、月〜土のどの曜日(第1・3土曜日は休み)でも結構ですので、妊娠している方は午前中の産科1番外来を、妊娠していない方は午前中の生殖初診外来を初診として受診して、一般産婦人科診察を受けていただきます。これは初診ですので、電話による予約が必要です。診察後に次回受診として、毎週月曜日(休日は除く)午後1時から始まる不育症初診外来の予約をいたします。不育症初診外来の予約当日は、午後0時45分までに再来受付を済ませて産婦人科外来で待機して下さい。

なお、月曜日午前中の妊婦外来あるいは生殖外来の初診を受診した場合でも、当日午後の不育症初診外来は受診できません。他の曜日と同様、当日以降(一週間以降)の不育症初診外来を予約のうえ受診していただくことになります。

不育症の初診外来では、産婦人科の一般診察に加えて、今後の検査計画について説明いたします。基礎体温に従って、上記の一連の検査を行います。検査項目を取捨選択せずに上記のルーチン検査を全て行う場合は、検査終了まで最低約2ヶ月はかかります。一通り検査が終了した後に、不育症の方針・再診外来で今後の治療計画について説明いたします。もしご夫婦に染色体異常が認められた場合は、臨床遺伝専門医による遺伝カウセリングを行います。治療方針が決定して妊娠許可が出た後に、妊娠していただきます。ご希望があれば、不育症の方は、妊娠初期の間、一般産科外来ではなく不育症の再診外来において、比較的間隔を狭めて妊婦検診を致します。ただし、その間隔は、予約枠の制限からご要望通りにはいかない場合もあります。また、少なくとも妊娠20週以降は、いずれかの曜日の午前中、あるいは月曜日午後(丸山)の産科外来での通常の妊婦検診となります。


不育症に関しては、以下のサイトもご参考下さい。

  • Fuiku-Laboフイク-ラボ:不育症治療に関する再評価と新たなる治療法の開発に関する研究(厚生労働省研究班)http://fuiku.jp/fuiku/